群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所、代表の高山秀康です。産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、事業展開において重要なステップですが、手続きの複雑さに頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
産業廃棄物の適正処理は環境保全の観点からも厳しく管理されており、許可を得るためには様々な要件を満たす必要があります。許可申請の手続きを誤ると、事業開始が大幅に遅れる可能性もあります。
この記事では、産業廃棄物収集運搬業の許可申請について、申請から取得までの10ステップを詳しく解説します。複雑な手続きをわかりやすく整理し、スムーズな許可取得をサポートします。
産業廃棄物収集運搬業とは
産業廃棄物収集運搬業は、事業活動に伴って生じた廃棄物を、排出事業者から委託を受けて収集し、処分施設まで運搬する事業です。この事業を行うためには、廃棄物処理法に基づく都道府県知事または政令市長の許可が必要となります。
産業廃棄物は一般廃棄物と異なり、事業活動から生じる廃棄物であり、廃プラスチック類、金属くず、がれき類など20種類に分類されています。特に有害性の高い廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として別途許可が必要です。
産業廃棄物収集運搬業の許可は、収集運搬を行う区域(都道府県・政令市)ごとに必要となります。例えば、複数の都道府県をまたいで事業を行う場合は、それぞれの自治体から許可を取得する必要があるのです。
許可申請の準備段階で確認すべきこと
産業廃棄物収集運搬業の許可申請を始める前に、いくつかの重要な確認事項があります。これらを事前に把握しておくことで、申請プロセスがスムーズに進みます。
まず確認すべきは、欠格事由に該当していないかどうかです。過去に廃棄物処理法違反で罰金刑を受けた場合や、暴力団員である場合などは、許可が下りません。申請前に自身が欠格事由に該当していないか確認しておきましょう。
次に必要なのが、事業を行うための施設や設備の準備です。産業廃棄物の収集運搬には、廃棄物の種類に応じた専用の車両や容器が必要となります。また、事務所や駐車場なども確保しておく必要があります。
さらに、許可申請に関する講習会の受講も必須条件です。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会を受講し、修了証を取得しておく必要があります。この講習会は全国各地で開催されていますが、開催頻度が限られているため、早めに受講計画を立てておくことをお勧めします。
最後に、資金面の準備も重要です。許可申請には手数料がかかるほか、車両や設備の準備にも費用が必要です。また、許可取得後の事業運営資金も見込んでおく必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可申請の10ステップ
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、以下の10ステップで進めていきます。それぞれのステップを着実に進めることで、スムーズな許可取得が可能になります。
ステップ1: 講習会の受講と修了証の取得
許可申請の第一歩は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可申請に関する講習会」を受講することです。この講習会は、廃棄物処理法や関連法令、実務上の注意点などを学ぶ場であり、修了証は申請時に必要となります。
講習会は年間を通して全国各地で開催されていますが、開催回数が限られているため、早めに申し込むことをお勧めします。また、講習会の申込みから受講、修了証の取得までには時間がかかることを考慮して、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
個人事業主の場合は申請者本人が、法人の場合は代表者、役員、または業務を行う区域にある事業場の代表者が受講する必要があります。
ステップ2: 必要書類の収集と準備
許可申請には多くの書類が必要です。主な必要書類には以下のようなものがあります。
- 許可申請書
- 事業計画書
- 住民票(個人の場合)または登記事項証明書(法人の場合)
- 定款または寄附行為(法人の場合)
- 役員の住民票(法人の場合)
- 誓約書(欠格事由に該当しないことの誓約)
- 資産に関する調書
- 収集運搬車両の写真、車検証の写し
- 事務所・駐車場の賃貸契約書の写しまたは所有権を証する書類
- 講習会修了証
これらの書類は自治体によって若干異なる場合があるため、申請先の自治体のホームページで確認するか、直接問い合わせて正確な情報を入手しましょう。
ステップ3: 事業計画書の作成
事業計画書は申請の重要な部分です。ここでは、取り扱う産業廃棄物の種類、収集運搬の方法、使用する車両や容器の種類と数、事業の用に供する施設の概要などを詳細に記載します。
事業計画書は審査の重要な判断材料となるため、具体的かつ現実的な内容にすることが重要です。特に、廃棄物の種類ごとの収集運搬方法や、万が一の事故時の対応方法などを明確に記載しましょう。
また、事業の収支計画も含める必要があります。初期投資や運営費用、予想される収入などを具体的な数字で示すことで、事業の継続性や安定性をアピールできます。
ステップ4: 施設・設備の準備と写真撮影
産業廃棄物収集運搬業を行うためには、適切な施設や設備が必要です。主な施設・設備には以下のようなものがあります。
- 事務所(書類保管や業務管理を行う場所)
- 駐車場(収集運搬車両を駐車するスペース)
- 収集運搬車両(廃棄物の種類に応じた専用車両)
- 保管容器(廃棄物を一時的に保管するためのコンテナなど)
これらの施設・設備は、申請時に写真を提出する必要があります。特に車両については、車両全体、積載部分、車両番号が確認できる写真、さらに廃棄物処理法で定められた表示(産業廃棄物収集運搬車である旨、許可番号など)が施された状態の写真が必要です。
申請書類の作成と提出方法
産業廃棄物収集運搬業の許可申請書類の作成は、細心の注意が必要です。一つでも不備があると、修正のために時間がかかり、事業開始が遅れる原因となります。
ステップ5: 申請書の作成
申請書は、各自治体が定める様式に従って作成します。様式は自治体のホームページからダウンロードできることが多いですが、最新の様式を使用することが重要です。
申請書には、申請者の基本情報(氏名・住所・連絡先など)、事業の概要、取り扱う廃棄物の種類、使用する施設・設備の情報などを記入します。記入漏れや誤記がないよう、何度も確認しましょう。
特に注意が必要なのは、取り扱う廃棄物の種類です。産業廃棄物は20種類に分類されており、申請時にはどの種類を取り扱うかを明確にする必要があります。将来的に取り扱う可能性のある廃棄物も含めて申請しておくと、後々の変更手続きが不要になります。
ステップ6: 手数料の納付
許可申請には手数料が必要です。手数料の金額は自治体によって異なりますが、新規申請の場合は一般的に8万円前後となっています。手数料の納付方法も自治体によって異なり、収入証紙を申請書に貼付する方法や、指定口座への振込、窓口での現金納付などがあります。
例えば、北海道では収入証紙による納付が一般的ですが、松江市では2024年4月から現金納付に変更されています。また、青森県では2025年4月から電子決済も可能になりました。申請先の自治体の最新の納付方法を確認しておきましょう。
手数料を納付した証明(領収書や収入証紙を貼付した書類など)は大切に保管し、申請書と一緒に提出します。
ステップ7: 申請書の提出と予約
申請書の提出方法は自治体によって異なります。多くの自治体では窓口での直接提出が基本ですが、郵送による提出を受け付けている自治体もあります。また、最近では電子申請を導入している自治体も増えてきています。
注目すべき点として、多くの自治体では申請の予約制を導入しています。例えば、東京都では収集運搬業の新規・更新・変更許可申請はホームページ上から予約が必要です。また、北海道でも許可申請・事前計画書の提出は予約制となっています。
予約なしで申請に行くと受付してもらえない場合があるため、必ず事前に予約の要否を確認し、必要であれば予約を取っておきましょう。
審査から許可取得までの流れ
申請書を提出した後は、審査が行われ、基準を満たしていれば許可が下ります。この過程を理解しておくことで、心に余裕を持って許可取得を待つことができます。
ステップ8: 審査と現地調査
申請書を提出すると、自治体の担当者による審査が始まります。審査では、提出書類の内容確認だけでなく、必要に応じて現地調査が行われることもあります。現地調査では、申請書に記載した施設・設備が実際に存在し、適切に管理されているかが確認されます。
審査の過程で不明点や不備があれば、自治体から問い合わせや追加資料の提出を求められることがあります。このような問い合わせには迅速かつ誠実に対応することが、スムーズな許可取得につながります。
審査期間は自治体によって異なりますが、一般的には標準処理期間として30日程度が設定されています。ただし、これは全ての書類が揃っている状態からの期間であり、不備があると修正のためにさらに時間がかかります。
例えば、島根県では標準処理期間を30日としていますが、これは全ての書類が揃ってからの期間であり、土日を除いた期間です。そのため、許可申請は余裕を持って2ヶ月前を目安に行うことが推奨されています。
ステップ9: 許可証の交付
審査に合格すると、産業廃棄物収集運搬業許可証が交付されます。許可証には、許可番号、許可の有効期間、事業の範囲(取り扱える廃棄物の種類)などが記載されています。
許可証は事業所内の見やすい場所に掲示するとともに、コピーを車両内に備え付けておく必要があります。また、許可証の記載内容に変更が生じた場合は、速やかに変更手続きを行う必要があります。
許可の有効期間は5年間です。継続して事業を行う場合は、有効期間満了の30日前までに更新許可申請を行う必要があります。更新を忘れると無許可営業となり、罰則の対象となる可能性があるため、許可の有効期間は常に把握しておきましょう。
ステップ10: 許可取得後の義務と注意点
許可を取得したら、廃棄物処理法に基づく様々な義務を遵守する必要があります。主な義務には以下のようなものがあります。
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)の適正な運用
- 帳簿の記載と5年間の保存
- 委託契約書の作成と保存
- 収集運搬車両への表示(産業廃棄物収集運搬車である旨、許可番号など)
- 廃棄物の飛散・流出防止などの適正処理
これらの義務を怠ると、改善命令や許可取消しの対象となる可能性があります。特に、マニフェストの運用は産業廃棄物の適正処理を確保するための重要な仕組みであり、確実に実施する必要があります。
許可申請の際によくある質問と回答
産業廃棄物収集運搬業の許可申請に関して、よくある質問とその回答をまとめました。申請の際の参考にしてください。
Q1: 複数の都道府県で事業を行う場合、どうすればよいですか?
産業廃棄物収集運搬業の許可は、収集運搬を行う区域(都道府県・政令市)ごとに必要です。複数の都道府県で事業を行う場合は、それぞれの自治体から許可を取得する必要があります。
ただし、同時に複数の申請を行う場合、2つ目以降の申請では一部の添付書類を省略できることがあります。例えば、北海道では「同時に二以上の申請書等を提出する場合において、添付書類を省略する場合」の参考書式例が用意されています。
Q2: 講習会の修了証が申請日に間に合わない場合はどうすればよいですか?
講習会の開催日程の関係で、申請日に修了証が間に合わない場合があります。そのような場合、多くの自治体では「誓約書」と「講習会の申込みを済ませていることが分かる書類(受講票の写し等)」を提出することで、一時的に申請を受け付けてもらえます。
例えば、東京都では「許可の申請日に講習会の修了証を提出できない方は、申請時に誓約書と講習会の申込みを済ませていることが分かる書類を提出してください。講習会の修了証を取得した後は、当該修了証(写し)をご提出ください。許可証は修了証の提出以降に交付します。」としています。
Q3: 申請手数料はいくらですか?
申請手数料は自治体によって異なります。一般的に、新規申請では8万円前後、更新申請では7万円前後、変更許可申請では7万円前後となっています。
例えば、島根県の場合、産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請手数料は81,000円、更新許可申請手数料は73,000円、変更許可申請手数料は71,000円です。特別管理産業廃棄物収集運搬業の場合は、それぞれ81,000円、74,000円、72,000円となっています。
正確な金額は申請先の自治体に確認してください。
許可申請を自分で行うか専門家に依頼するか
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、自分で行うことも可能ですが、専門家に依頼するメリットもあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身の状況に合った選択をしましょう。
自分で申請するメリットとデメリット
自分で申請する最大のメリットは、費用を抑えられることです。行政書士などの専門家に依頼すると、数十万円の費用がかかりますが、自分で行えばその費用を節約できます。
また、申請プロセスを自分で経験することで、廃棄物処理法や関連法令への理解が深まり、今後の事業運営にも役立つ知識が得られます。
一方、デメリットとしては、申請書類の作成や手続きに多くの時間と労力がかかることが挙げられます。産業廃棄物収集運搬業の許可申請は複雑で専門的な知識が求められるため、不慣れな方が行うには多くの困難が伴います。
また、書類に不備があると申請が受理されず、修正のためにさらに時間がかかる可能性があります。結果的に、事業開始が遅れてしまうリスクもあります。
専門家に依頼するメリットとデメリット
行政書士などの専門家に依頼する最大のメリットは、スムーズな申請手続きが期待できることです。専門家は許可申請の経験が豊富であり、必要書類の準備や記入方法を熟知しています。
また、自治体との交渉や調整も専門家が代行してくれるため、申請者の負担が大幅に軽減されます。特に、複数の自治体に申請する場合や、特殊な条件がある場合は、専門家のサポートが非常に有効です。
一方、デメリットとしては費用がかかることが挙げられます。専門家への依頼費用は、一般的に数十万円程度かかります。ただし、この費用は事業開始の遅延リスクを減らし、確実に許可を取得するための投資と考えることもできます。
私たちエクリ行政書士事務所では、産業廃棄物収集運搬業の許可申請サポートを行っています。複雑な申請手続きを専門家にお任せいただくことで、スムーズな許可取得が可能です。
まとめ:産業廃棄物収集運搬業許可申請の成功のポイント
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、複雑で時間のかかるプロセスですが、適切な準備と正確な手続きを行うことで、スムーズに許可を取得することができます。
成功のポイントは、まず十分な準備期間を確保することです。講習会の受講から必要書類の収集、申請書の作成まで、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
次に、申請先の自治体の最新情報を常に確認することが重要です。申請様式や手数料、提出方法などは自治体によって異なり、また変更されることもあります。最新の情報を入手し、それに基づいて準備を進めましょう。
そして、書類作成の際は細心の注意を払い、不備や誤記がないようにチェックすることが大切です。一つでも不備があると、修正のために時間がかかり、事業開始が遅れる原因となります。
最後に、自分で申請するか専門家に依頼するかは、自身の状況や予算、時間的余裕などを考慮して決定しましょう。特に初めての申請や、複数の自治体に申請する場合は、専門家のサポートを検討する価値があります。
産業廃棄物収集運搬業は、環境保全と資源循環の観点から重要な役割を担っています。適切な許可を取得し、法令を遵守した事業運営を行うことで、社会に貢献する事業者として成長していきましょう。
許可申請でお悩みの方は、ぜひエクリ行政書士事務所にご相談ください。豊富な経験と専門知識で、あなたの事業の成功をサポートいたします。

ステップ3: 事業計画書の作成
ステップ6: 手数料の納付
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