建設業許可における専任技術者の要件とは?完全解説

群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所、代表の高山秀康です。建設業許可の取得を検討されている方にとって、「専任技術者」の要件は非常に重要なポイントとなります。この記事では、専任技術者の役割から資格要件、実務経験の考え方まで、最新の法改正情報も含めて徹底解説します。

建設業許可を受けるためには、営業所ごとに専任技術者を配置することが法律で義務付けられています。この要件を満たさなければ許可は取得できず、また一度取得した後も専任技術者が不在になると許可が取り消される可能性があるのです。

専任技術者の要件は一般建設業と特定建設業で異なり、また2025年の法改正によって金額要件なども変更されています。これから建設業許可を取得しようとする方も、すでに取得している方も、最新の要件を正確に理解しておくことが重要です。

目次

専任技術者とは?その役割と重要性

専任技術者とは、建設業法で営業所ごとに設置することが義務付けられている技術者のことです。その主な役割は、建設工事に関する請負契約の適正な締結と、その契約通りに工事を履行するための技術的な管理です。

建設業許可における専任技術者の業務イメージ専任技術者は営業所に常勤して、見積もりの作成や入札、請負契約の締結など、営業所でおこなわれる業務に専念します。工事現場に出ることは基本的にありません。

建設業許可を取得するためには、この専任技術者の配置が必須条件となっています。そして、一度許可を取得した後も、専任技術者が退職などで不在となった場合は、建設業許可を維持できなくなる可能性があります。そのため、専任技術者が不在となる期間が生じないよう、計画的な人材配置が重要です。

専任技術者になるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 一定の資格または実務経験を有していること
  • 営業所に常勤していること
  • 専任であること(他の営業所や工事現場との兼任ができないこと)

常勤と専任の要件については、以下のような場合は要件を満たさないと判断されます。

  • 居住地と営業所が離れすぎていて通勤が困難な場合
  • 他の営業所や工事現場で専任の業務に就いている場合
  • アルバイトやパートタイムなど短期雇用が前提の場合

なお、常勤と専任の要件を満たしていれば、出向社員を専任技術者として配置することも可能です。また、1人の担当者が複数業種の専任技術者となることもできますが、その場合はすべての業種で資格や実務経験などの条件を満たしている必要があります。

一般建設業の専任技術者になるための要件

一般建設業の専任技術者になるためには、以下の3つの要件のいずれかを満たす必要があります。

1. 国家資格による要件

建設業の種類ごとに定められた国家資格を持っていることが最も明確な要件です。例えば、土木一式工事業であれば、1級・2級土木施工管理技士や技術士(建設部門)などが該当します。

建設業許可に必要な国家資格証書のイメージ主な業種ごとの資格例を挙げると以下のようになります。

  • 土木一式工事業:1級・2級土木施工管理技士、1級・2級建設機械施工管理技士、技術士(建設部門など)
  • 建築一式工事業:1級・2級建築施工管理技士、1級・2級建築士
  • 電気工事業:1級・2級電気工事施工管理技士、電気主任技術者、電気工事士
  • 管工事業:1級・2級管工事施工管理技士、技術士(上下水道部門)

業種ごとに認められる資格は多岐にわたりますので、詳細は国土交通省の「営業所専任技術者となりうる国家資格者等一覧」で確認することをお勧めします。

2. 学歴と実務経験による要件

指定学科を卒業し、一定期間の実務経験を有している場合も専任技術者になることができます。学歴によって必要な実務経験年数が異なります。

  • 大学(指定学科)卒業後:3年以上の実務経験
  • 高等学校(指定学科)卒業後:5年以上の実務経験
  • 専門学校(指定学科)卒業後:5年以上の実務経験(専門士または高度専門士を称する者は3年以上)

「指定学科」とは、建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとに密接に関連する学科として指定されているものです。例えば、土木工事業であれば土木工学、建築工事業であれば建築学などが該当します。

3. 実務経験のみによる要件

許可を受けようとする建設業の種類の建設工事に関して、10年以上の実務経験を有している場合も専任技術者になることができます。この場合、学歴や資格は問われません。

実務経験については、建設工事に関する経験であることが重要です。例えば、建築一式工事業の専任技術者になるためには、建築工事に関する実務経験が必要となります。

特定建設業の専任技術者になるための要件

特定建設業の専任技術者になるための要件は、一般建設業よりも厳しくなっています。特定建設業とは、発注者から直接請け負った建設工事について、5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)の下請契約を締結する場合に必要となる許可です。

特定建設業の専任技術者が工事計画を確認している様子特定建設業の専任技術者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

1. 国家資格による要件

一般建設業と同様に、建設業の種類ごとに定められた国家資格を持っていることが要件となります。ただし、特定建設業の場合は、一般建設業よりも高いレベルの資格が求められることがあります。

例えば、土木一式工事業の場合、1級土木施工管理技士や技術士(建設部門)などが該当します。2級土木施工管理技士は一般建設業では認められますが、特定建設業では認められないケースがあります。

2. 指導監督的実務経験による要件

一般建設業の専任技術者の要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上である工事について、2年以上指導監督的な実務経験を有する者も特定建設業の専任技術者になることができます。

ただし、2025年2月1日からは、この金額要件が4,500万円から5,000万円に引き上げられます。

「指導監督的実務経験」とは、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。

なお、指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種)の許可を受けようとする場合は、この指導監督的実務経験による要件では許可を取得できません。国家資格または大臣特別認定者の要件を満たすことが必要です。

3. 大臣特別認定者

指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者も特定建設業の専任技術者になることができます。

ただし、この特別認定講習及び考査については、指定建設業制度が導入された際に行われたものであり、現在は実施されていません。

専任技術者の実務上の注意点

専任技術者の配置にあたっては、いくつかの実務上の注意点があります。これらを理解しておくことで、建設業許可の取得や維持がスムーズになります。

1. 専任技術者の変更手続き

専任技術者が退職や異動などで不在となる場合は、速やかに新たな専任技術者を配置し、変更届を提出する必要があります。専任技術者が不在の状態が続くと、建設業許可が取り消される可能性があります。

建設業許可の変更届を作成している様子変更届の提出期限は、変更があった日から30日以内です。期限を過ぎると行政処分の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。

2. 複数業種の専任技術者兼任

1人の技術者が複数の業種の専任技術者を兼任することは可能です。ただし、兼任するすべての業種について、資格や実務経験などの要件を満たしている必要があります。

例えば、土木一式工事業と舗装工事業の専任技術者を兼任する場合、両方の業種で必要な資格や実務経験を有していなければなりません。1級土木施工管理技士の資格があれば、両方の業種の専任技術者になることができます。

3. テレワークによる専任技術者の配置

令和3年12月の通達により、テレワークによって職務に従事する場合も、通信機器を利用して営業所に従事している場合と同様の職務ができ、常時連絡が取れる環境であれば、専任要件として認められるようになりました。

ただし、テレワークを行う場合でも、営業所との関係性や連絡体制などについて、許可行政庁に事前に確認しておくことをお勧めします。

4. 専任技術者と主任技術者・監理技術者の違い

専任技術者は営業所に常駐する技術者であるのに対し、主任技術者・監理技術者は工事現場に配置される技術者です。役割も異なりますが、資格要件は類似しています。

一般的には、主任技術者を取得していれば一般建設業の専任技術者に、監理技術者を取得していれば特定建設業の専任技術者になることができます。

ただし、工事現場の配置技術者と営業所の専任技術者を兼任することはできません。それぞれ別の人材を配置する必要があります。

2025年の法改正と専任技術者への影響

2025年2月1日から、建設業法施行令の一部改正により、特定建設業許可をはじめとする各種の金額要件が見直されます。この改正は、近年の建設工事費の高騰を踏まえたものです。

建設業法改正に関する資料を確認している様子1. 特定建設業許可の金額要件の変更

特定建設業許可を要する下請代金額の下限が、現行の4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)から、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)に引き上げられます。

これにより、下請代金額が4,500万円以上5,000万円未満(建築工事業の場合は7,000万円以上8,000万円未満)の工事については、一般建設業の許可でも請け負うことができるようになります。

2. 施工体制台帳等の作成を要する金額要件の変更

施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限も、現行の4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)から、5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)に引き上げられます。

3. 専任の監理技術者等を要する金額要件の変更

専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限が、現行の4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)から、4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)に引き上げられます。

これにより、請負代金額が4,000万円以上4,500万円未満(建築一式工事の場合は8,000万円以上9,000万円未満)の工事については、専任の監理技術者等の配置が不要となります。

4. 特定専門工事の対象となる金額要件の変更

特定専門工事の対象となる下請代金額の上限も、現行の4,000万円から4,500万円に引き上げられます。

これらの改正により、一部の工事について手続きの簡素化や人材配置の柔軟化が期待されます。ただし、金額要件の変更に伴い、これまでの運用方法を見直す必要がある場合もありますので、注意が必要です。

専任技術者に関するよくある質問

最後に、専任技術者に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 専任技術者は何人必要ですか?

専任技術者は、営業所ごとに最低1人必要です。複数の営業所がある場合は、それぞれの営業所に専任技術者を配置する必要があります。

また、複数の業種で許可を取得する場合でも、1人の技術者が複数業種の専任技術者を兼任することが可能です。ただし、その技術者がすべての業種の要件を満たしている必要があります。

Q2. 専任技術者と経営業務の管理責任者は兼任できますか?

はい、専任技術者と経営業務の管理責任者を兼任することは可能です。ただし、それぞれの要件を満たしている必要があります。

経営業務の管理責任者になるためには、建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験が必要です。また、専任技術者になるためには、一定の資格や実務経験が必要です。

Q3. 専任技術者が退職した場合はどうすればよいですか?

専任技術者が退職した場合は、速やかに新たな専任技術者を配置し、変更届を提出する必要があります。変更届の提出期限は、変更があった日から30日以内です。

専任技術者が不在の状態が続くと、建設業許可が取り消される可能性がありますので、後任の専任技術者をあらかじめ準備しておくことをお勧めします。

Q4. 専任技術者の資格要件を満たす人材がいない場合はどうすればよいですか?

専任技術者の資格要件を満たす人材がいない場合は、以下のような対応が考えられます。

  • 資格を持つ人材を新たに雇用する
  • 既存の社員に資格取得を促す(資格試験の受験支援など)
  • 実務経験による要件を満たす人材を確保する

特に中小の建設業者様にとっては、人材確保が大きな課題となっています。計画的な人材育成や、資格取得支援制度の導入などを検討されることをお勧めします。

まとめ:専任技術者の要件を正しく理解し建設業許可を取得しよう

建設業許可における専任技術者の要件について、一般建設業と特定建設業それぞれの場合に分けて解説してきました。専任技術者は建設業許可の取得・維持に必須の要素であり、その要件を正しく理解することが重要です。

専任技術者になるためには、一定の資格や実務経験が必要であり、また営業所に常勤して専任であることが求められます。さらに、2025年2月からは金額要件の変更もありますので、最新の情報を把握しておくことが大切です。

建設業許可の取得や更新、専任技術者の変更手続きなどでお困りの際は、ぜひ専門家にご相談ください。私たちエクリ行政書士事務所では、建設業許可に関するさまざまなサポートを提供しております。

建設業許可の取得は、専門知識と経験が必要な複雑な手続きです。正しい知識と適切なサポートがあれば、スムーズに許可を取得できます。

建設業許可の取得可否や専任技術者の要件についてお悩みの方は、ぜひ一度無料診断をご利用ください。あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを提供いたします。

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