風俗営業の行政処分事例から学ぶ許可維持の重要ポイント

群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所、代表の高山秀康です。風俗営業許可を取得された事業者様にとって、その許可を維持し続けることは事業継続の生命線となります。しかし、知らないうちに法令違反を犯し、行政処分を受けるケースが少なくありません。

風俗営業の許可取消や営業停止といった行政処分は、事業者にとって大きな打撃となります。最悪の場合、事業継続が困難になることも。

本記事では、実際の行政処分事例を基に、風俗営業許可を維持するための重要ポイントを解説します。これから風俗営業を始める方はもちろん、すでに営業されている方にとっても、リスク回避のための参考になれば幸いです。

目次

風俗営業における行政処分の種類と流れ

まず、風俗営業で受ける可能性のある行政処分について理解しておきましょう。風俗営業法(風営法)違反が発覚した場合、どのような処分が下されるのでしょうか。

風営法違反が明らかになった場合、行政上の手続きと刑事上の手続きの2つが考えられます。令和4年の処分状況を見ると、刑事処分に該当する検挙件数は874件、一方の行政処分の件数は3,820件と、圧倒的に行政処分の方が多くなっています。

風俗営業法違反の行政処分と刑事処分の比較グラフ風営法違反における行政処分には、軽いものから順に「指示処分」「営業停止」「許可の取り消し」の3つの処分があります。多くのケースは「指示処分」に該当しますが、その処分内容に従わない場合には「営業停止」「許可の取り消し」といった重い処分が科されることになります。

行政上の手続きについて簡単に説明すると、「行政処分」は、行政庁(公安委員会)が適正な営業をするよう指示監督するための処分行為です。違反行為が発覚したときに報告徴収、立入検査を行い、行為の悪質性を考慮した上で行政指導または行政処分を行います。

行政指導と行政処分の違い

行政指導と行政処分の違いを理解することは非常に重要です。「行政処分」とは、法律の定めに従い、一方的な判断に基づいて、国民の権利や義務に直接影響を及ぼす行為のことをいいます。

それに対して行政指導は、一方的に強制するものではなく「このようにしてください」というようなお願いベースのものになります。

風俗営業の場合、まず行政指導を受けることが多いですが、それに従わないでいると、より強制力のある行政処分へと発展していきます。

行政指導を軽視して放置することは、最終的に事業継続の危機を招く可能性があるのです。

実際の行政処分事例から学ぶ教訓

具体的な事例を見ていくことで、どのような違反が行政処分につながるのか、理解を深めていきましょう。以下は、実際に起きた行政処分の事例です。

事例1:無許可営業による逮捕事例

東京・歌舞伎町のコンセプトカフェで未成年の従業員に接待させたとして、警視庁は、店の経営者の男性と店長の女性の両容疑者を風営法違反(無許可営業)などで逮捕しました。

両容疑者は共謀して、未成年の少女(17)を女性従業員として雇ったうえ、都公安委員会から風俗営業の許可を得ずに、客の30代男性に酒をついだり、話し相手をしたりするなどの接待をさせた疑いがあります。

風俗営業許可が必要なコンセプトカフェの店内イメージ注目すべき点は、この店がこれまでも無許可の接待行為について行政指導を受けていたにもかかわらず、それを無視し続けていたことです。行政指導を軽視した結果、最終的に経営者の逮捕という最悪の事態に発展してしまいました。

この事例から学べる教訓は明確です。行政指導は「お願い」ではありますが、それを無視し続けることで、より厳しい行政処分や刑事処分へとエスカレートしていくリスクがあるということです。

行政指導を受けた場合は、速やかに対応し、違法状態を解消することが何よりも重要です。

事例2:未成年者雇用による行政処分

上記の事例でも触れられていますが、未成年者を雇用して接客させることは風営法違反となります。経営者は「店で未成年を5~6人ほど雇っていた」と供述しており、意図的に違法行為を行っていたことがわかります。

風俗営業において未成年者を雇用することは絶対に避けるべき違反行為です。採用時には必ず年齢確認を行い、疑わしい場合は公的な身分証明書で確認するなどの対策が必要です。

あなたの店舗でも、スタッフの採用プロセスを見直してみませんか?

2025年風営法改正の影響と注意点

2025年に施行された風営法の改正により、風俗営業に関する規制がさらに厳格化されています。特に「接待行為」の定義や色恋営業の禁止などが明文化され、これまでグレーゾーンだった営業形態が明確に規制対象となりました。

2025年風営法改正のポイントを示す概念図接待行為の定義の明確化

改正法では「特定の客への密接な応対」が明文化され、「特定の客に対して個別に密接に応対すること」が明確に”接待”とみなされることとなりました。

例えば、カウンター越しの会話ではなく、隣に座って私的な会話を行う場合は接待に該当する可能性が高くなりました。

また、店の構造(カウンターのみ、ボックス席なし)や制服の有無だけで「接待がない」とする主張は通りにくくなりました。実際の営業実態、従業員の行動、客の滞在状況を客観的に確認される運用へ移行しています。

特に注意すべきは、改正により無許可接待があった場合、是正指導ではなく即時行政処分の対象になるケースが増えたことです。

色恋営業等の禁止

2025年の法改正では、「色恋営業等の禁止」が新たに規定されました。これにより、接客を通じて恋愛感情を抱かせるような営業手法が明確に禁止されています。

キャバクラやホストクラブなどの接待を伴う飲食店では、スタッフへの指導を徹底し、接客の範囲を明確にすることが重要です。スタッフマニュアルには「隣席の禁止」「お酌や乾杯の禁止」などを明記し、研修を行うことをお勧めします。

また、誤認・誤解を避けるために、店内の映像を適切に録画・保存する体制があると、万が一の際に弁明材料となります。

許可維持のための重要ポイント

これまでの事例や法改正の内容を踏まえ、風俗営業許可を維持するための重要ポイントをまとめました。

1. 行政指導は絶対に無視しない

行政指導を受けた場合は、軽視せずに速やかに対応することが重要です。行政指導は強制力はありませんが、それを無視し続けることで行政処分や刑事処分へとエスカレートするリスクがあります。

行政指導の内容を正確に理解し、必要な改善策を講じることで、より厳しい処分を回避できます。

2. スタッフ教育の徹底

風俗営業許可の維持には、スタッフ全員が法令を理解し、遵守することが不可欠です。特に以下の点についてスタッフ教育を徹底しましょう。

  • 未成年者の雇用禁止と年齢確認の徹底
  • 接待行為の範囲と制限の理解
  • 営業時間の遵守
  • 客引き行為の禁止

定期的な研修や勉強会を開催し、法令遵守の意識を高めることが重要です。

風俗営業店舗でのスタッフ教育研修の様子3. 記録の保存と証拠の確保

万が一の行政調査や立入検査に備えて、営業に関する記録を適切に保存しておくことが重要です。特に以下の記録は重要です。

  • 従業員の身分証明書のコピー(年齢確認の証拠)
  • 営業時間の記録
  • 行政指導を受けた場合の内容と対応策
  • 店内の防犯カメラ映像

これらの記録は、万が一の行政処分や刑事処分の際に、自らの正当性を証明する重要な証拠となります。

4. 定期的な法令遵守状況の自己点検

風営法や関連法令は改正されることがあります。最新の法令内容を把握し、自店舗の営業が法令に適合しているか定期的に点検することが重要です。

特に2025年の法改正のように、これまでグレーゾーンだった営業形態が明確に規制対象となるケースもあります。常に最新の法令情報をチェックし、必要に応じて営業形態を見直すことが大切です。

自己点検が難しい場合は、専門家である行政書士に相談することをお勧めします。

行政処分を受けた場合の対応策

万が一、行政処分を受けた場合の対応策についても知っておきましょう。適切な対応により、処分の影響を最小限に抑えることができる場合があります。

1. 行政処分の内容を正確に理解する

行政処分の通知を受けた場合、まずはその内容を正確に理解することが重要です。処分の理由、期間、条件などを確認し、どのような対応が求められているのかを把握しましょう。

不明な点がある場合は、処分を行った行政機関に問い合わせるか、専門家に相談することをお勧めします。

2. 処分に不服がある場合の対応

行政処分に不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求や、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起することができます。

ただし、これらの手続きには期限があり、また専門的な知識が必要となります。不服申立てを検討する場合は、早急に行政書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

行政書士に相談する事業者のイメージ私たちエクリ行政書士事務所では、風俗営業許可の申請だけでなく、行政処分に関する相談も承っております。お気軽にご相談ください。

3. 再発防止策の策定と実施

行政処分を受けた場合、同様の違反を繰り返さないための再発防止策を策定し、実施することが重要です。具体的には以下のような対策が考えられます。

  • 違反の原因となった業務プロセスの見直し
  • スタッフ教育の強化
  • 定期的な自己点検の実施
  • 専門家によるコンサルティングの活用

再発防止策を実施することで、将来的な違反リスクを低減し、安定した営業を継続することができます。

まとめ:風俗営業許可を守るために

風俗営業許可を維持するためには、法令遵守の徹底と適切な対応が不可欠です。本記事でご紹介した行政処分事例や重要ポイントを参考に、自店舗の営業を見直してみてください。

特に重要なのは以下の点です。

  • 行政指導は絶対に無視せず、速やかに対応する
  • スタッフ教育を徹底し、法令遵守の意識を高める
  • 営業に関する記録を適切に保存し、証拠を確保する
  • 定期的に法令遵守状況を自己点検する
  • 万が一の行政処分に備え、対応策を知っておく

風俗営業は規制が厳しく、また法改正により規制内容が変更されることもあります。常に最新の情報を入手し、適切な対応を取ることが重要です。

風俗営業許可の申請や維持に関してお悩みの方は、ぜひ群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所にご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、皆様の事業継続をサポートいたします。

群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所では、風俗営業許可をはじめとする各種許認可申請のサポートを行っております。お気軽にお問い合わせください。

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