群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所、代表の高山秀康です。風俗営業を行う上で、営業時間の制限は最も重要な法的規制の一つです。この記事では、風俗営業法における営業時間制限の内容と、事業者が取るべき対応策について詳しく解説します。
風俗営業の許可を取得しても、自由に営業できるわけではありません。法律で定められた営業時間を守らなければ、行政処分や罰則の対象となる可能性があります。
営業時間制限は風俗営業の種類や地域によって異なるため、正確な知識を持っておくことが重要です。特に2025年に施行された改正風俗営業法では、規制が強化された部分もあるため、最新の情報を把握しておく必要があります。
風俗営業法における営業時間制限の基本
風俗営業法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、風俗営業に対して営業時間の制限を設けています。
まず、風俗営業とは何かを明確にしておきましょう。風俗営業法では、以下の営業が風俗営業として定義されています。
- 1号営業:キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
- 2号営業:喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの
- 3号営業:喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
- 4号営業:まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
- 5号営業:スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗で客に遊技をさせる営業
風俗営業法では、これらの営業に対して、原則として「午前0時から午前6時まで」の時間帯は営業が制限されています。つまり、深夜0時から朝6時までは営業できないのが基本ルールです。
ただし、パチンコ店などの4号営業については、さらに厳しい時間制限があり、「午後11時から翌日の午前9時まで」の時間帯は営業できません。つまり、夜11時から翌朝9時までは営業できないということです。
これらの営業時間制限は全国一律ではなく、地域によって異なる場合があります。各都道府県の条例によって、より厳しい制限が設けられていることもあるため、営業する地域の条例も確認する必要があります。
営業時間制限の例外規定
風俗営業法における営業時間制限には、いくつかの例外規定があります。主な例外は以下の通りです。
まず、12月15日から翌年1月10日までの期間は、午前1時まで営業することができます。これは年末年始の特例として認められているものです。
また、地域によっては条例で特例が設けられていることがあります。例えば、神奈川県警察のウェブサイトによると、横浜市中区及び川崎市川崎区については、上記の日時に関係なく午前1時まで営業することができるとされています。
さらに、観光地など特定の地域では、規則で指定された場合に営業時間の延長が認められることもあります。これらの特例は地域振興や観光促進の観点から設けられているものです。
2025年改正風俗営業法による変更点
2025年に施行された改正風俗営業法では、風俗営業に関するいくつかの重要な変更点がありました。特に注目すべきは、悪質な営業行為に対する規制強化です。
改正風俗営業法の主な変更点は以下の通りです。
- 「色恋営業」など不当な接客行為の明確な禁止
- 性風俗店での「スカウトバック」全面禁止
- 無許可営業・名義貸しへの罰則強化
- 営業許可における「不適格者」の排除強化
これらの変更点は直接的に営業時間制限に関わるものではありませんが、風俗営業全体の規制強化という流れの中で、営業時間制限の取り締まりも厳格化される可能性があります。
特に注目すべきは罰則の強化です。改正前は無許可営業に対する罰則は「懲役2年以下または罰金200万円以下」でしたが、改正後は「拘禁刑5年以下または罰金1,000万円以下(個人)」、「罰金3億円以下(法人)」と大幅に引き上げられました。
営業時間制限違反も無許可営業の一形態と見なされる可能性があるため、これまで以上に法令遵守が求められるようになったと言えるでしょう。
施行初日の摘発事例
改正風俗営業法の施行初日である2025年6月28日には、早速摘発事例が報告されています。新宿・歌舞伎町のガールズバーで無許可営業が行われていたとして、経営者が逮捕されました。
この事例は直接的に営業時間制限違反に関するものではありませんが、改正法施行後の取り締まり強化の姿勢を示すものと言えるでしょう。警察当局が風俗営業法違反に対して厳格な姿勢で臨んでいることが窺えます。
営業時間制限についても同様に、これまで以上に厳格な取り締まりが行われる可能性が高いため、事業者は十分な注意が必要です。
業種別の営業時間制限
風俗営業法における営業時間制限は、業種によって異なります。ここでは、主な業種別の営業時間制限について詳しく見ていきましょう。
接待飲食業(キャバレー、ホストクラブなど)
接待飲食業(1号営業)は、風俗営業法の中でも代表的な業種です。キャバレーやホストクラブ、クラブなどがこれに該当します。
接待飲食業の営業時間制限は、原則として「午前0時から午前6時まで」の時間帯は営業できません。ただし、12月15日から翌年1月10日までの期間は、午前1時まで営業することができます。
また、地域によっては条例で特例が設けられていることがあります。例えば、横浜市中区及び川崎市川崎区については、午前1時まで営業することができるとされています。
2025年の改正風俗営業法では、接待飲食業に対して「色恋営業」の禁止など新たな規制が追加されましたが、営業時間制限自体に大きな変更はありませんでした。
低照度飲食店・区画席飲食店
低照度飲食店(2号営業)や区画席飲食店(3号営業)も、接待飲食業と同様の営業時間制限が適用されます。つまり、原則として「午前0時から午前6時まで」の時間帯は営業できません。
低照度飲食店とは、店内の照度が10ルクス以下の飲食店を指します。また、区画席飲食店とは、他から見通すことが困難で、かつ5平方メートル以下の客席を設けている飲食店を指します。
これらの店舗も、12月15日から翌年1月10日までの期間は午前1時まで営業可能で、地域によっては条例で特例が設けられていることがあります。
パチンコ店・ゲームセンター
パチンコ店(4号営業)の営業時間制限は、他の風俗営業よりも厳しく、「午後11時から翌日の午前9時まで」の時間帯は営業できません。つまり、営業可能時間は午前9時から午後11時までとなります。
一方、ゲームセンター(5号営業)は、原則として「午前0時から午前6時まで」の時間帯は営業できません。ただし、ゲームセンターには少年の立ち入り制限も設けられており、16歳未満の少年は午後8時以降、16歳以上18歳未満の少年は午後10時以降の立ち入りが禁止されています。
これらの制限は青少年の健全育成の観点から設けられているものであり、特に厳格に運用されています。
営業時間制限に関する地域差
風俗営業法における営業時間制限は、全国一律ではなく、地域によって異なる場合があります。これは、各都道府県が条例によって独自の規制を設けることができるためです。
例えば、神奈川県では横浜市中区及び川崎市川崎区について、通常の制限よりも緩和された規制が適用され、午前1時まで営業することができます。これは、これらの地域が繁華街として発展してきた歴史的背景があるためです。
一方で、住宅地に近い地域や、教育施設が多い地域では、条例によってより厳しい制限が設けられていることもあります。これは地域の特性や住民の生活環境を守るための措置です。
また、観光地として指定された地域では、観光振興の観点から営業時間制限が緩和されることもあります。例えば、海水浴場等や祭礼、縁日等の開催場所で3か月以内の期間に限って営まれる遊技場については、通常の営業時間制限が適用されない場合があります。
保全対象施設の周辺における制限
風俗営業法では、特定の施設(保全対象施設)の周辺における風俗営業の出店を制限しています。保全対象施設とその制限距離は以下の通りです。
- 学校(大学を除く):100メートル
- 大学、図書館、児童福祉施設、病院及び診療所(患者を入院させるための施設を有するもの):70メートル(営業所が商業地域に所在するときは30メートル)
これらの保全対象施設の周辺では風俗営業の出店が制限されるため、営業時間制限以前の問題として、そもそも営業許可が下りない可能性があります。
また、住居専用地域や住居地域(準住居地域を含む)に営業所を設置することも、原則として制限されています。ただし、商業地域の周囲30メートル以内の住居地域や、規則で指定する地域(観光地等)でホテル営業・旅館営業の施設において風俗営業(パチンコ店等を除く)を営む場合は、この制限が除外されます。
営業時間制限違反のリスクと罰則
風俗営業法における営業時間制限に違反した場合、様々なリスクと罰則が待ち受けています。ここでは、違反した場合のリスクと罰則について詳しく見ていきましょう。
行政処分(営業停止・許可取消)
営業時間制限に違反した場合、まず行政処分として営業停止命令が下される可能性があります。営業停止期間は違反の程度によって異なりますが、通常は数日から数か月程度です。
繰り返し違反した場合や、特に悪質な違反と判断された場合は、風俗営業許可の取消処分が下される可能性もあります。許可が取り消されると、その後5年間は新たに風俗営業の許可を受けることができなくなります。
2025年の改正風俗営業法では、許可取消処分を受けた法人の親会社・グループ会社も新たに許可を取得できなくなるなど、規制が強化されています。また、行政処分を逃れるために許可を返納した者も、新たに許可を取得できなくなりました。
刑事罰(罰金・懲役)
営業時間制限違反は、行政処分だけでなく刑事罰の対象にもなります。風俗営業法に違反した場合、罰金や懲役などの刑事罰が科される可能性があります。
2025年の改正風俗営業法では、無許可営業や名義貸しに対する罰則が大幅に強化されました。個人の場合は「拘禁刑5年以下または罰金1,000万円以下」、法人の場合は「罰金3億円以下」と、従来の「懲役2年以下または罰金200万円以下」から大幅に引き上げられています。
営業時間制限違反も、悪質な場合や繰り返し違反した場合は、無許可営業と同様の厳しい罰則が適用される可能性があります。
社会的信用の失墜
営業時間制限違反で行政処分や刑事罰を受けると、社会的信用が大きく失墜します。特に、処分内容が公表されると、顧客離れや取引先からの信用低下につながる可能性があります。
また、地域住民からの苦情や反発が強まり、営業環境が悪化する恐れもあります。風俗営業は地域との共存が重要であり、法令違反によって地域からの信頼を失うことは、長期的な営業継続にとって大きなリスクとなります。
営業時間制限への適切な対応策
風俗営業法における営業時間制限に適切に対応するためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、事業者が取るべき対応策について詳しく見ていきましょう。
営業時間の明確な設定と周知
まず最も重要なのは、法令に準拠した営業時間を明確に設定し、従業員や顧客に周知することです。営業時間は店舗の入口や店内の見やすい場所に掲示し、ウェブサイトやSNSなどでも明示しましょう。
特に閉店時間が近づいたら、顧客に対して閉店時間を案内し、スムーズに退店してもらえるよう配慮することが重要です。閉店時間を過ぎても営業を続けることは、営業時間制限違反となるため、絶対に避けるべきです。
従業員教育の徹底
従業員に対して、営業時間制限の重要性と違反した場合のリスクについて教育することも重要です。特に管理職や店長には、法令遵守の責任があることを明確に伝え、違反を未然に防ぐ体制を整えましょう。
定期的な研修や勉強会を開催し、風俗営業法の最新動向や改正内容について情報共有することも効果的です。2025年の改正風俗営業法では様々な規制が強化されているため、最新の法令内容を把握しておくことが重要です。
地域との良好な関係構築
風俗営業を円滑に行うためには、地域との良好な関係構築も重要です。営業時間を守ることはもちろん、騒音対策や清掃活動など、地域環境への配慮を示すことで、地域住民からの理解を得やすくなります。
地域の町内会や自治会の活動に参加したり、地域イベントに協賛したりすることで、地域の一員としての存在感を示すことも効果的です。地域から信頼される事業者であれば、万が一のトラブル時にも柔軟な対応が期待できます。
専門家への相談
風俗営業法は複雑で、地域によって異なる規制が設けられていることもあります。不明点や疑問点がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
特に新規出店や店舗改装を検討している場合は、事前に専門家のアドバイスを受けることで、法令違反のリスクを大幅に減らすことができます。また、定期的に法令遵守状況のチェックを依頼することも有効です。
まとめ:風俗営業の営業時間制限を守るために
風俗営業法における営業時間制限は、風俗営業を行う上で最も重要な法的規制の一つです。この記事では、営業時間制限の基本から、業種別の制限、地域差、違反時のリスクと罰則、そして適切な対応策まで詳しく解説しました。
風俗営業の営業時間制限は、原則として「午前0時から午前6時まで」の時間帯は営業できないというものですが、パチンコ店などの4号営業はさらに厳しい制限があります。また、地域によって条例で特例が設けられていることもあるため、営業する地域の条例も確認する必要があります。
2025年に施行された改正風俗営業法では、「色恋営業」の禁止や無許可営業への罰則強化など、様々な規制が強化されました。営業時間制限についても、これまで以上に厳格な取り締まりが行われる可能性が高いため、事業者は十分な注意が必要です。
営業時間制限に違反した場合、営業停止や許可取消などの行政処分、罰金や懲役などの刑事罰、さらには社会的信用の失墜など、様々なリスクがあります。これらのリスクを避けるためには、法令に準拠した営業時間の明確な設定と周知、従業員教育の徹底、地域との良好な関係構築、そして専門家への相談が重要です。
風俗営業法は複雑で、地域によって異なる規制が設けられていることもあります。不明点や疑問点がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
風俗営業の許認可申請や法令遵守についてお悩みの方は、群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所までお気軽にご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かして、皆様の事業を全力でサポートいたします。
群馬県伊勢崎市のエクリ行政書士事務所では、風俗営業許可申請をはじめ、各種許認可申請のサポートを行っています。お気軽にお問い合わせください。

従業員教育の徹底
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